キシリトールの毒性
キシリトールは糖アルコールと呼ばれる糖質の1つで、犬では0.1g/kgBW(体重1kgあたり0.1g)より多くキシリトールを摂取すると、低血糖を起こすリスクがあり、0.5g/kgBWより多く摂取すると肝障害を引き起こします。1
ちなみに、猫が大量に(1g/kgBW)摂取しても毒性は確認できていません。2
なぜ、人の食品にはキシリトールが使われているのか
キシリトールは、砂糖と同程度の甘味にもかかわらず、カロリーは砂糖の25%低い甘味料です(キシリトール:約3kcal/g,砂糖:約4kcal/g)。スーッとした清涼感があり、むし歯の発生や進行を防ぐ効果が知られています。そのため、一般的にガムやタブレット、飴、グミ、歯磨き粉などの原材料となっていることが多いです。
例えば、LOTTEから発売されているXYLITOLの粒ガムには、1粒あたり0.5g3と多くのキシリトールが含まれます。そのため、1粒食べただけでも、小型犬は低血糖を引き起こす可能性があり、誤って摂取した場合は、動物病院へ駆け込む必要があります。
いちごにもキシリトールが含まれる
キシリトールは加工品だけに含まれるものではなく、天然のものにもキシリトールは含まれます。いちごが最も有名ですが、それ以外にも、バナナ、ニンジン、カリフラワー、レタス、なす、ラズベリー、ほうれん草、マッシュルームなどにもキシリトールが含まれています。4
報告によると、いちごには100gあたり乾燥状態で362mg5,生の状態で44mg6のキリトールが含まれます。
正しく恐れることが大切
上記の結果から計算すると、生のイチゴを一度に体重1kgあたり約227g摂取すると低血糖を起こすリスクがあると計算ができます。
分かりやすくイメージで言うと、体重3kgの一般的なサイズのトイプードルが、一度にイチゴをざっくり2パック半以上食べると危険だということです。(※1パック250gと仮定)
この結果から、犬にいちごを数粒与えることを極端に恐れる必要はないことがわかります。
水も大量飲めば水中毒に、塩も大量に摂取すれば食塩中毒になります。大切なのは「何を」「どの程度」「どれくらいの頻度で」摂取したかです。
インターネットには沢山の真偽のわからない情報が沢山あり、振り回されてしまうことがあります。与える前に調べることで「危険だから与えない」という判断をすることは、何も考えずに与えてしまうよりも良い判断だと考えます。しかし、調べれば調べるほど「危険」「与えないほうが良い」という食べ物はどんどんと増え、何も食べられなくなってしまうという事態になってしまうことも…。
正確な情報を得ることに努め、正しく恐れることが大切です。
- Xylotol Toxicity in Dogs ↩︎
- Effects of p.o. administered xylitol in cats ↩︎
- LOTTE「XYLITOL」公式サイト ↩︎
- Xylitol: A speciality sweetener Sugary Azucar. 93:36–42. ↩︎
- Xylitol: A speciality sweetener Sugary Azucar. 93:36–42. ↩︎
- Quantification of Xylitol in Foods by an Indirect Competitive Immunoassay ↩︎