犬も炭水化物が必要って本当？
はい、本当です！炭水化物はたんぱく質、脂質と並ぶ三大栄養素のひとつで、人と同様に犬にとっても必要な栄養素です。炭水化物は「糖質」、「食物繊維」に分けることができます。
炭水化物のうち糖質はお米やパン、麺類などの穀類や芋類に豊富に含まれ、効率の良いエネルギー源となります。食物繊維は、玄米や藻類、きのこ類やかぼちゃに豊富に含まれ、腸内環境を整える働きをします。
犬用の市販製品にも炭水化物は含まれています。しかし、製品の保証分析値（パッケージや公式ホームページ内に記載されている栄養組成）では、「炭水化物」という表記をされることは少なく、「食物繊維」のように一部のみの表記や、「可溶無窒素物(NFE)」や「租繊維」のように、糖質・食物繊維とは異なる方法で分類した名称で表されることが一般的です。
犬は穀物を消化できないって聞いたことがあるけど？
いいえ、そんなことはありません。犬は祖先であるオオカミとは異なる動物で、穀類も消化・吸収できる雑食動物です。穀類に含まれる炭水化物の多くを占めるデンプンは消化管から分泌されるα-アミラーゼという消化酵素により分解され、吸収されます。ただし、犬も人も生のお米は、消化吸収できず下痢を引き起こしてしまいます。ペットフードも手作り食の場合も、加熱調理することでデンプンが分解されやすくなり（この現象はα（アルファ）化と呼びます）、消化ができるようになるのです。
グルテンフリーって健康に良さそうだけど実際どうなの？
一部の疾患をもっている犬には健康に良い食事と言えますが、健康な犬がグルテンフリーの食事を食べる大きなメリットはありません。
グルテンフリーの食事は、小麦や大麦、ライ麦などに含まれるグルテンというタンパク質を含まない食事をいいます（ちなみに、名前が似ている「グレインフリー」の食事は、穀物を含まない食事）。グルテンが原因で免疫反応が起き、消化器症状を引き起こす病気として人のセリアック病があります。犬では、アイリッシュセッターという犬種特有のグルテン過敏症や一部の犬にみられるグルテンに対する食物アレルギーがあります。これらのように、グルテンを摂取することで有害な反応が起こる場合には、グルテンフリーの食事を摂取することが症状の改善につながるため推奨されます。
犬に必要な炭水化物ってどれくらい？
犬の栄養基準であるAAFCO栄養基準には、炭水化物の最小値・最大値は設定されていません。しかし、タンパク質と脂質の最小値は設定されているため、炭水化物の最大値は計算で求めることができます。とはいえ、炭水化物はいつも最大量を摂取しても問題ないかというと、そうではありません。高炭水化物の食事は、一般的にカサが増えるため食べきることが難しくなることも。また、食物繊維も多くなり、軟便を引き起こしたり、他の栄養素の吸収を妨げてしまう可能性もあります。反対に、含まれる炭水化物が少ない場合、その分のエネルギーをタンパク質や脂肪から補う必要があるため、高タンパク質食や高脂肪食になります。高タンパク質食は、腎疾患の子には悪影響を与えることがあり、高脂肪食は、膵炎や胆嚢疾患の発症や悪化につながる場合があります。また、食物繊維が極端に少ない食事は便秘を引き起こす恐れがあります。肉がカロリーの大部分を占めるような食事は、お財布に優しくなく、必要なカロリーを十分に摂取できず痩せてしまうこともあります。
炭水化物は、他の栄養素とのバランスが大切です。どれくらい必要なのかは、制限すべき栄養素があるか、年齢、健康状態など個々の状況によって変わります。どのような栄養組成が適しているのかご不明な場合には、一度ご担当の獣医師に相談してみるとよいでしょう。また、DC one dishでは栄養相談やオーダーメイドのレシピ作成も承っています。些細なことでも構いませんので、お気軽にご相談くださいね。