「この子食欲がすごくて、いくらでも食べられます。」
食欲旺盛な犬は、ご飯を与えたそばからすぐに完食し、どんな時でも人の食べ物を狙ってきます。
「いったいこの子は、どれだけ食べれば気が済むのだろうか。」
「いつもお腹が空いているようで可哀想。」
そう思う飼い主さんも多いと思います。
そもそも犬に満腹まで与えたいと考えるのは間違っているかもしれない。
イヌ科の野生動物（オオカミ、ハイエナなど）は、群れで狩りを行い、食い溜めてをして獲物を持ち帰り、狩りに参加することが難しい子供たちなどに吐き戻して食事を与えるという習性があります。
自らの体重の5~4分の1程度まで、食い溜めるが出来ると言われているため、１日１食でも十分に１日に必要な食事量を摂取することが出来る胃のキャパシティを持っています。
犬もその名残があり、同様に１度に大量に食べることができる能力を持っています。そのため、食べるだけ食事を与えると、物理的に食べられる限界まで食べて（場合によっては吐くまで食べて）どんどんと太っていきます。沢山与えることで満足感を与えるというのは、そもそも難しい生き物だということを知っておくと良いでしょう。（※食べられる限界まで与えると、消化器症状等を引き起こすことがあるため、絶対に試すことはしないでください。）
おやつで満足しているのは犬？それとも飼い主？それとも犬の作戦か？
そうなってくると、必要なカロリーが摂取出来ているのに、犬が食事以外でおねだりをするのは、いったいなぜなのでしょうか。
・まだ胃の中に食べ物が入るスペースがあるから？
・カサが少なすぎたから？
・本能的に食べられるなら、とりあえず食べとこうとするから？
・おねだりをすれば、もらえるという学習をしたから？
考えられる理由はさまざまです。
食事のカサを増やすことで、確かにおねだりをする回数が減ることがあります。しかし、それだけでおねだりすべてを無くすことは一般的には難しいです。それでも、まだおねだりするのは、食事のカサや内容の問題だけではないということは前述の通りご理解いただけるかと思います。
犬は食事ではない時間に、飼い主さんから食べ物を与えられたという状況に満足することが多いです。この場合、与えられる食べ物の内容とは関係していません。おねだりが多く、オヤツばかり与えていると、摂取する栄養組成が偏り、栄養素の過剰や欠乏をリスクがでてきます。総合栄養食の手作り食であれば、食材の一部をおやつとして取り置き、与えることで、栄養バランスを崩すことなく、おやつを与えることができます。ぜひ、試してみてくださいね。
※それでも体重が肥満傾向ならば、おねだりを断るという飼い主さんの強い意志も大切です。